みんとのつぶやき

読んだ本、聴いたCDの感想などをつらつら書いています。

読んだ本「風の墓碑銘」

 初めて読んだのは数年前だが、図書館で見かけるとまた読みたくなり、今回3度目くらいか。通読後気になった箇所を数回読み返して、今さらながらすごいと思ったのは、いろんな描写の細かさ、たくみさ、その基にある著者の人間観察の鋭さだ。
 1つは、ある人物にDNA鑑定への協力を依頼する場面。必要以上に相手の感情をかき乱しているような気もしていたが、微妙な話に切り込み、納得させ、結果相手にも飲み込みやすくしている。偽刑事の心当たりについて話す場面の滝沢の説明の持って生き方、等々。(例が両方滝沢になってしまったが、登場人物の性格上そうなるのだろう)
 こんなことに今更気が付くあたり、いかに私自身が感情の機微に疎いか、会話能力がないかを示している気もするが、この小説の魅力の一つに気づけたのはよかった。