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みんとのつぶやき

読んだ本、聴いたCDの感想などをつらつら書いています。

読んだ本 ~ わたしが・棄てた・女  by 遠藤周作

先日友人との会話のなかで、友人がだいぶ前にテレビでみたという、遠藤周作と誰かの対談の話がでてきたのがきっかけで、図書館にあったのを借りてきてみました。もちろん遠藤周作の名前は知っていましたが、読んだことはなかったのです。読むのがこの本になったのは、単にそのとき図書館にあったからです。

友人が「対談の感じだと、すごく面白い人だと思う」と言っていたが、小説の文章も面白く、特に冒頭はユーモアがあってスムーズに読み進められました。途中では登場人物の行動がちょっとひどいので読み進めるのがつらい部分もありましたが。文庫本でも1冊で、本の中での時間の経過が早く、展開も早い部分があって、ポイントポイントが浮かびあがる感じがしました。裏表紙に「たった一人の女の生き方が読む人すべてに本物の愛を問いかける」とはあるのですが、その「愛」(と呼ぶのであれば)の大きさが当初の想像をはるかに超えていて少し茫然としてしまいました。

その「愛」(と呼ぶのであれば)の一方、悲しい話でもあります。唯一の救いは、登場人物の女性が最後の数か月もしくは1年程度は、ある意味、それまでの数年のなかでは最も安心して暮らしていたのではないか、ということです。はっきり言い切れるものでもありませんが。いろいろと考えさせられる本でした。

(数日後追記)
その後、巻末にあった解説をところどころ読みました。私が思ったよりも、はるかに壮大な「愛」(と呼ぶのであれば)が描かれているようです。登場人物はごく普通の人、あるいは、表現は悪いが社会の底辺に近いところで日々暮らしている人。そこで「愛」(と呼ぶのであれば)とそのほかの主題を描くものすごいが、それはまるで何事にも甘えはない、言い訳はない、と言っているかのようです。